はじめに
本記事は,2025年3月15日にAHNCHOR KOBEにて “GDG Greater Kwansai” 主催の元開催された ”Kobe IoT Tech Frontier” に関するイベントレポートでございます.
GDG Greater Kwansaiについて
イベントを主催したGDG Greater Kwansaiについてご説明します.GDG Greater Kwansaiとは,広域関西圏で活動を行う Google Developer Group を表します.大阪,京都,奈良,神戸,岡山,四国,広島大学,大阪大学,金沢工業大学など広い意味での「関西」を活動範囲としています.本団体は主にAIやCloud Computing等最新のテクノロジーに関するセミナーやワークショップを開催しています.
Kobe IoT Tech Frontireの概要
本イベントでは,IoTに携わる様々な技術者の方々をお招きしてIoTに関する基礎的な知識から実生活への応用など様々な事例について講演をしていただきました.

参加者数
本イベントに参加された人数は以下のとおりです.
現地参加:30名
オンライン参加:26名
ご参加いただき誠にありがとうございました.
イベント内容のご紹介
ここからは,イベントの内容をセッションごとにまとめさせていただきます.なお,「Marriage of IoT and Kubernetes – 新世代のデバイス管理とオーケストレーション」については諸事情により割愛させていただきます.
第2セッション:毎週献立を考えてくれる冷蔵庫を作ってみた(講演:角田 俊 氏)

この講演では,冷蔵庫内の様子をカメラを取り付けて撮影し,chatGPTを用いて一週間分の献立をLINEに示すご自身で開発された仕組みについて説明なされました.
また,実際に自身で筋トレの食事管理を実施し実際に効果を得ることができたとおっしゃってました.(下記記載のyoutubeチャンネル参照)
一方で,食事量が少ない献立が提示されてしまうといった問題点があることも述べられていました.
講演者:角田 俊 氏
株式会社神戸デジタル・ラボ所属.4年間KDLにてIoT、XR、データサイエンスで従事し,現在は個人事業主として活動.
尚,Youtubeにて自宅をスマートホーム化するプロジェクトを「でべろっぱーKIT」というチャンネル名でyoutube活動を行う.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
自分で献立をたてるのはとても労力のいる家事の一つだと考えられるので献立を自動で立ててもらうことは生活負担を減らすことが出来る素晴らしい技術だと感心しました.また,このような技術は今回の筋トレのみではなく,例えば糖尿病を疾患されている方のための食事管理など医療面でも転用されるとより多くの方々にとって優れた技術になり得るのではないかと思いました.
第3セッション:IoT機器開発の基礎知識(講演:小林 豊 氏)

この講演では,IoTの基礎についてIoTの歴史からIoTで使われるプロトコル,IoTの実用例や開発・設置する際の注意点など幅広く講演してくださいました.
また,IoTに関するリスクについても実例を交えてお話しいただきそのリスクを想定する重要性について仰られておりました.
講演者:小林 豊 氏
mui Lab株式会社所属.1999年にエプソンコーワ株式会社(現エプソンアヴァシス株式会社)入社.
以降,ソニーEMCS株式会社,VAIO株式会社,日置電機株式会社を経て2020年1月より現職.専門は組み込みソフトウェアだが,クラウドからハードウェア設計,量産まで幅広い分野をカバー.
業務の傍ら,Maker Fairやニコニコ技術部(NT)などのモノづくりの活動を行い,県立長野図書館「モノコトベース」の運営サポートも行っている.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
IoTと聞いても実際にどう運用されているのかわからないことが多かったので,このような講演は非常に勉強になりました.また,野外に設置した際にアリに巣を作られ卵が産みつけられているといった事例は個人的初めて聞いた事例でとても興味深く感じました.
(私事ではありますがこのイベント後の懇親会のほうでもお話ししていただきました.本当にありがとうございました.)
第4セッション:Raspberry PiでAI推論サーバーを作りたい(講演:高橋 淳一郎 氏)

この講演ではRaspberry PiというCPU推論を用いてAI推論サーバーをどのようにして導入したかその手順についてせつめいしていただきました.
その後,実際に完成したAIモデルの様子を示していただきかなり高速に動いておりその実用性を示して下さいました.
最後にRAMを効率的に使う方法(swap領域)や他のおすすめデバイスはどんなものがあるか(Mac Studioなど)補足説明を行ってくださいました.
講演者:高橋 淳一郎 氏
The University of Tokyo所属.恐らく日本で100人以内には入るぐらいNVIDIA NVLinkC2CのAddress Translation Servicesのパフォーマンス解析に詳しいとされている方.
AIの学習訓練とGPUにちょっと詳しい謎の人間.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
これから修士になる方がchatgptのようなチャット式のAIを自分自身で作成しているこの取り組みはすごくいい刺激になり,おもしろい取り組みだなと感じました.
第5セッション:GPTがKubernetesの設定を代わりに書いてくれる時代が来た!Kubectl AIを試してみた(講演:高岡 己太朗 氏)

この講演では,YAMLの設定を「Kubectl AI」という機能を用いて自動で行って学習コストを抑える実用性について説明していただきました.
また,Kubectl AIの使用方法についても説明していただきました.
ただし,gptが有料プランであることなどの問題点を挙げられていました.
講演者:高岡 己太朗 氏
金沢工業大学所属.金沢工業大学工学部情報工学科1年.中学,高校時代はWROなどに参加.現在はWROの経験を活かし、Androidアプリ開発を中心に活動.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
AIを使ったKubernetesのようなオープンソースの簡易化は多くの人に役立つことが考えられます.
第6セクション:Node-REDで作ってみた!学生のIoTシステム開発奮闘記(講演:北野 賢一郎 氏)

この講演では,Node-REDというプログラミングツールを用いて不良品の判別(今回の例では焦げたピーナッツと焦げてないピーナッツの判別)を行う制御機構の紹介を行っていただきました.
また,工場のDX化(測定値記録自動化)にも取り組まれているとも仰られていました.
今後は目標である自殺の削減や孤独感解消など社会的課題にNode-REDを用いて取り組みたいとのことでした.
講演者:北野 賢一郎 氏
大阪国際工科専門職大学所属.大阪国際工科専門職大学 ロボット開発コースで学びながら,AI×IoT×ロボット技術を活用したDXの研究・開発に取り組んでいる.工場のデジタル化やスマートホーム技術の構築,Node-REDを用いたシステム開発などを実践している.現在は、これまでの経験を活かしながら,Node-REDを用いたシステム開発や,AI・IoT・ロボットを活用したスマートホーム・工場DXの実装に取り組んでいる.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
講演の中で,北野氏は現場の人間の気持ちを考える重要性について述べられていました.このことはとても重要なことだと考えており,自分も生産に関する研究を行っているためそういった考え方は自分自身も意識する必要があると思いました.
第7セッション:3DプリンターにKlipper導入してみた(講演:RAILGUN 氏)

この講演では,3DプリンターにKlipperという技術を導入について説明なされました.導入の結果作成にかかる時間の短縮を行うことができたそうです.また,造形のほうも精度が向上したとのことでした.
今後は,パラメータの調整を行うことでより高速かつ高精度な造形をめざしているそうです.
講演者:RAILGUN 氏
HACK.BAR所属.3Dプリンターが趣味の工学部の二年生.大学・HACK.BARで3Dプリンターの紹介や管理を行う.大学やアルバイト先で3Dプリンターを布教活動を行う.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
自分の趣味に対して貪欲に取り組まれておりとても感心しました.また,3Dプリンターは様々な分野で利用され始めている一方で,3Dプリンターは造形に時間がかかるといった問題点があるのでこのような高速化は多くの分野で役立つのではないかと思いました.
第8セッション:未来の猫型スマートゴミ箱(講演:島 悠人 氏)

この講演では,公共の場におけるごみ問題に着目し,テクノロジーと社会貢献の融合と題しゴミを捨てた際に自動的に分別する機構を開発しているそうです.(今回の例ではペットボトルとその他)
また,猫のタブレットをゴミ箱に用意することでごみの持ち帰りを促すことを考えておられるとのことでした.
ところが,分別機構であったりゴミの状態と猫の表情をどう関連性をもたせるかまだ構想中とのことであり,様々な可能性を秘めていると感じさせられました.
講演者:島 悠人 氏
神戸大学所属.専門は船舶における制御技術とプログラミング.海洋分野の安全性向上や効率化に関心を持つ.
出典: connpas – Kobe IoT Tech Frontier
ゴミの問題は現代の日本において重要な問題の一つであると考えています.そのような問題にこうして技術的に解決を目指そうとする方の取り組みは非常に尊敬しており,自分自身も見習うべきだと感じさせられました.
まとめ
本イベントでは,IoTに関する実用例や基礎的な話題まで様々な講演を行っていただきました.
最後になりますが,このような講演を行ってくださった8名の講演者の方々に感謝を述べたいと思います.素晴らしい講演をありがとうございました.
次回のイベントについて
来月開催するイベントについてご案内します.
GDG Greater Kwansaiは2025年4月19日(土)10:00~18:00に「グラングリーン大阪 Blooming Camp」にて「AI 共創の時代へ – Build with AI Kwansai」を開催致します.こちらのイベントではAI時代における高度なIT人材育成や,AIの活用法について取り扱う予定です.
ご興味のある方はぜひ以下のconnpasページよりお申込みいただきますと幸いです.

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