8月「BootCamp Day1」レポート

目次

はじめに

本記事は、2025年8月2日にグラングリーン大阪 JAM BASEにて開催された Alpha+ Project による「8月BootCamp Day1」のレポートになります。

Alpha+ Projectとは

一般社団法人Greek Alphabet Software Academyが主催する Alpha+ Project は、世界のテクノロジーをリードする企業の出身者がシリコンバレー流の開発スタイルを教えています。
実践的かつ効率的、そして何より楽しい開発手法やマインドセットを学ぶことができます。

Greek Alphabet Software Academy

主催者:石原直樹さん
日米文化、日米企業の狭間で苦闘しながらソフトウェア開発とそのプログラムマネジメントに従事してきた。14年間勤めた Google で得られた経験やスキルを活かすため2020年に日本へ帰国し、出身地の神戸でイノベーション文化の伝道師として活動中。神戸でトップレベルのソフトウェアエンジニアを育成する Alpha+ Project を主催。

オリエンテーション

講師の石原直樹さんから、Alpha+ Project の目的や今後のスケジュールについて紹介がありました。

今年で3年目を迎えたAlpha+ Projectですが、経済産業省が支援する 『AKATSUKIプロジェクト』の支援事業 に採択されています。

本取り組みではAKATSUKI プロジェクトの他の補助事業者の方々とも交流が盛んで、実際に現地に向かったりしてお互い良い刺激をもらっているそうです。

今後の予定として月に一度、2日間にわたるキャンプを実施し、1月は合宿として泊まり込みで参加するなど非常にアクティブのようです。

また、各キャンプで行われる講義の内容も一部紹介がありLLM(大規模言語モデル)やクラウド、デザイン、セキュリティなどエンジニアとして欠かせない知識ですが、その中でも「小手先のテクニックではなく、言語化が難しい根っこの部分」をお教えいただけるとのことで既にわくわくが止まりません。

卒業生成果物発表

先輩である2期生の制作物発表の様子

Alpha+ Project 2期生である去年度のチームの成果物発表が行われました。

アキドコロ – 顧客のための空席管理システム

閉鎖的なコミュニティを築くバーでNFCタグを用いた空席確認アプリ

Alter Ego – 無理な誘いにスマートなノーを

面倒な会話を終わらせる手助けを行うLINEbot

PresenEyris -観衆反応解析アプリ-

オンライン開催時のプレゼンの評価がわかりにくいので集中度より数値的で客観的評価するアプリ

成果物の内容に関するお話だけでなく、開発において苦労した点や使用した技術など詳細なお話を聞けて非常に良かったです。

講師陣紹介

元Googleエンジニアから国内有名企業のエンジニアなど有名な方ばかりです。
このような未来を担う技術を開発してきた方と直接話す、ましてや教えていただける機会はなかなかないのではないのでしょうか。

ますますこれからの講義が非常に楽しみになります!

湯川 洋平
略歴 : 2009年東京大学理学系研究科博士課程修了 。
学生時代より、主にWindows環境でのプログラミングについて記事執筆・イベント登壇などを行う。
2004年から2009年までMicrosoft MVP for DirectX受賞。
2009年よりグーグル株式会社 (現・グーグル合同会社)、2015年から2024年まで米国Google Inc. (現・Google LLC) に所属。
GoogleではGoogle日本語入力チーム、Chromeチーム、Android OSチームと渡り歩き、一貫して文字入力機能の開発に従事。現在は日本に帰国し、自由な時間を満喫中。

牧垣 秀一朗
略歴: 長野県出身。2012年、京都大学大学院情報学研究科修了。
楽天株式会社、株式会社サイバーエージェントでインフラエンジニアとして勤務しながら、2016年から2020年にかけて東京科学大学情報理工学院で博士(工学)を取得。
専門はAI、Bioinformatics。
データプラットフォーム、データモデリングにも興味がある。現在は北里大学未来工学部データサイエンス学科助教とスタートアップ数社のインフラ周りをお手伝いしている。
オンプレ・クラウド・HPCでのDB管理や分散処理、コンテナ基盤などに対応可能。英語と発酵臭が苦手。
座右の銘は「原理は単純を、構造は複雑を極め、人は最も人らしく」(士郎正宗『アップルシード』)。

チーム作業

チーム発表

軽く休み時間をはさみ、次はなんと2月まで制作をともにするチーム発表が行われました。
Alpha+ Project応募時に提出していただいたPRDをもとに、系統の似た以下6チームが発表されました。

  • タスク管理
  • 集合知
  • MM-LLM
  • インバウンド
  • 音楽

初対面の人が大半ですが、すでに開発に取り掛かっているチームもあるそうです。
これからどのような成果物を生み出すか非常に楽しみですね!

PRD(Product Requirements Document)とは
プロダクトの機能開発を始めるにあたって、どのような製品を作るのかを定義した文書のこと

エンジニアがPRD(プロダクト要求仕様書)を書く理由は顧客の解像度を高めるため

自己紹介

普通の自己紹介では面白くないということで、エンジニアらしくgitを使用して自己紹介をおこないました。

流れは以下の通りです。

  1. 自身の自己紹介をマークダウン形式で記入する
  2. プルリクを作成する
  3. レビューで質問する/してもらう
  4. approveしてもらう
  5. 自身でmergeする

PgM志望など一部gitに慣れていない人もいましたが、経験豊富なチームメンバーに教えてもらう姿が伺えました。

実際の様子

既にファイルの命名を統一しているチームやディレクトリの整理が行われているチーム、READMEを更新しているチームなどすでに特色があり見ていて楽しいです。

自己紹介でお互い知ることができるだけではなく、gitの使い方も学べるなんて、まさに一石二鳥ですね。

Project Management 101

講師:湯川さん

最初の講義として講師である湯川さんによる「プロジェクトが頓挫しないために、伝えたいこと」をお話していただきました。

101とは?
最初の部屋として101号室という意味から派生した「入門編」や「初回」を意味するアメリカのスラング用語

正解はないということ

湯川さんが最初に伝えたいのは、エンジニア経験において「正解はない」とのことでした。出来上がるものすべてが運に左右されるという事実があります。

ですが、マネジメントする側としては予想ができない状況を怖がるのです。ルールを追加したら解決すると思われがちな現状が問題点なのです。
実際、テストでカバレッジ100%達成といったルールを掲げていても抜け道はいくらでも存在します。具体例を言うのであればあえてテストを簡単に書いたりすることがあるとのことです。
それは果たして正しいのか?といったことを生徒の皆さんに問いかけていました。

コード管理

どのような状況でも一番大切なことは「手を動かし続ける状態を維持する」ということをおっしゃっていました。
そもそも「できない場合、異常事態」であるとのことです。

gitでコードを管理できるようになってから、手元で試行錯誤できる時代へと移り変わりました。
その中で「うまくいった状態をこまめにセーブできること」「いつでもうまくいった状態に戻れる」のを常に意識することの重要性について具体例を添えて語りつくしていました。

成果物

成果物について改めて確認すると、終了時に何を見せることができるかということ。もちろん、大目標を達成するための小目標で得られるものも成果物に当てはまります。

そんな成果物ですが、成果物が生まれる過程というのは「目標に対する現状を確認し、ない状態からある状態に近づける」ことをひたすら繰り返すことが重要だとおっしゃっていました。

以上講義の内容の一部をお届けしましたが、「Project Management」「Team Meeting」「タスクの優先順位と依存関係」についてや、外部に公表しない生徒だけに伝えられる有益な情報などもあり、初日からエンジニア、非エンジニア問わず活用できるような内容ばかりで、非常にボリューミーな授業でした。

まとめ

Alpha+Projectは今後も定期的にCampを開催します。レポートも随時公開しますので、ぜひご覧ください。

Alpha+Project Online Salonのご紹介

Discordチャンネル上で、Alpha+Projectイベントに関する情報公開を行なっています。ご参加を希望される方は、下記のフォームにご記入ください。登録は無料となっておりますので、ぜひご気軽にご参加ください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfcnWMuXL7s_rhKXEHvozRwl4oMHbFs_oKCoxVLquu72r2MfQ/viewform

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